建設業や運送業を営む中小企業は、運転資金の確保に頭を悩ませることが少なくありません。急な資金需要に対応できず、事業継続が危ぶまれる事態に陥ることもあるでしょう。そんな時、車のリースバックを活用することで、運転資金を調達できる可能性があります。本記事では、車のリースバックの基本的な仕組みから、そのメリットとデメリット、具体的な活用方法まで、詳しく解説します。
車のリースバックとは?
その基本と流れを解説 車のリースバックとは、自社が所有する車両を売却し、その車両を買い取ったリース会社から借り受けて使用する方法です。手順としては、まず自社の車両を査定してもらい、買取価格を決定します。次に、その車両をリース会社に売却します。売却代金は自社の口座に振り込まれるので、運転資金として活用できます。そして、売却した車両を改めてリース会社から借り受け、リース料を支払いながら使用します。契約期間は通常3〜5年で、リース料は毎月一定額を支払う形になります。
リースバックの7つのメリットとデメリット
リースバックのメリットは、何といっても運転資金を調達できる点です。車両を売却するので、まとまった資金を得られます。また、売却した車両を借り受けて使用できるため、車両を手放す必要がありません。リース料を経費として計上できるので、節税効果も期待できます。一方、デメリットとしては、リース料が割高になる可能性がある点です。リース会社は車両の減価償却費や金利、手数料などを上乗せしてリース料を設定するため、自社で車両を購入する場合と比べると、トータルのコストが高くなるでしょう。また、リース期間が終了した際の車両の取り扱いについて、予めリース会社と取り決めておく必要があります。
リースバックを活用して運転資金を調達する具体的な方法
リースバックを活用して運転資金を調達する際は、以下の手順を踏みます。まず、リース会社に相談し、自社の車両を査定してもらいます。査定額を基に、リース会社と売却価格を決定します。次に、車両を売却する際の契約を結びます。この時、リース期間やリース料、契約終了時の車両の取り扱いなどを取り決めておきましょう。車両の所有権がリース会社に移ったら、売却代金が自社の口座に振り込まれます。これを運転資金として活用します。そして、リース会社と締結したリース契約に基づいて、定期的にリース料を支払いながら、車両を使用します。
法人カーリースの導入方法とその効果的な活用術
リースバックと似た仕組みに、法人カーリースがあります。法人カーリースは、リース会社が所有する車両を、法人が借り受けて使用する方法です。リースバックとの違いは、車両の所有権がリース会社にある点です。法人カーリースを導入するには、まずリース会社に申し込みを行います。審査に通れば、リース契約を結び、車両を借り受けることができます。法人カーリースのメリットは、車両の購入資金が不要な点や、リース料を経費として計上できる点です。また、車両の維持管理をリース会社に任せられるので、手間を省けます。リース期間終了後は、車両を返却するか、再リースするか、買い取るかを選択できます。
建設・運送業向けの資金繰り改善策:リースバックの実例
A社は建設業を営む中小企業です。新規の工事受注が増加し、資金需要が高まりましたが、手元資金が不足していました。そこで、所有する建設機械をリースバックすることで、1億円の資金を調達しました。これにより、新規工事に必要な資材の購入や、外注費の支払いが可能になりました。一方、B社は運送業を営む中小企業です。燃料費の高騰により、運転資金が不足する事態に陥りました。そこで、所有するトラック5台をリースバックし、5,000万円の資金を調達しました。これにより、燃料費の支払いに充てる運転資金を確保することができました。
リースバックを利用する際の注意点と成功するためのポイント
リースバックを利用する際は、いくつかの注意点があります。まず、リース料の設定が適切かどうかを確認することです。リース会社によっては、高めのリース料を設定している場合があるので、複数のリース会社から見積もりを取り、比較検討することが大切です。また、リース期間が長すぎると、リース料の総額が高くなってしまうので、適切な期間を設定しましょう。リース契約終了時の車両の取り扱いについても、予め取り決めておくことが重要です。買い取る場合の価格や、再リースの条件などを確認しておくと安心です。